別項で背骨と内臓の関係も少しく述べておりますが、ホントは内臓は内臓単体で存在しているわけではありません。
プロであれば、からだのバランス、また背骨の変動がどのような経緯で起こったかも追求すべきでしょう。
内臓は筋肉や骨格と相互に影響を及ぼし合い、こころとからだも同様、相互作用がなされるようになっています。
肋骨(ろっこつ)がこわばれば肺や心臓もこわばりますし、骨盤がこわばれば生殖器、消化器もこわばります。
体がこわばれば心もこわばりますし、その逆もまた真なり、です。
腰痛と胃痛でモノが食べられないとのことで、ご来室された女性がありました。
実はこの場合、腰痛と胃痛を別のものして扱ってはマズイ、のです。
なぜなら、それらは同じものだからです。
胃を直撃するのは、ズバリ左肋骨の下端、みぞおちのすぐ左側のこわばりです。
つまり、こわばった肋骨が胃を圧迫するという塩梅です。
それはどこから来るのかと言いますと、多いのは左手です。
どういうことかと言いますと、以下のような塩梅です。
まず左手から左肋骨を通して左腹直筋にテンションがかかります。
ここで左肋骨がこわばるために、胃に圧迫がかかります。
また左腹直筋が引っ張られて張る、ということは背中側の背スジ(脊柱起立筋)も張るということになります。
背スジが張るということはつまり、腰痛も発症する、というわけです。
ですから、操法におきましては左手の調整ははずせません。
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その方は、私が左手を調整をしているあいだ中、お腹がずっと鳴っていました。
予定通りでもありますがこれは、お腹(胃)がゆるんでいるのですね。
そして腰痛もほぼやわらいだ後、お話をうかがってみますと、やはり常時胃下垂もあるとのことです。
しかしそれにしても、「お腹がずいぶんと軽くなった」と言います。
このように、お腹にはさわっていなくとも変わってくるのです。
そこでお腹を診てみますと、やはりまだまだカタい。
いちばんカタいところ、これは硬直している感じですが、そこにじっと手を当てていますと、だんだんとゆるんできます。
そうすると、「胃が上がってきた~」と言います。
「お腹が空きました!」とも。食欲を感じたことはしばらくなかったとのことでした。
よく、胃下垂は逆立ちをするとよいと言いますけど、あれはマッカなウソです。
もしも逆立ちして多少よくなったように感じても、胃が下がらなくてはならなかった原因に関しては、なんら改善されてませんから・・
胃下垂の場合は、他にも頭部のこわばりから来る首筋のハリが左胸にテンションをかけて胃に圧迫が来ることもありますし、足のこわばりから骨盤に圧迫が来てなることもありますが、こじれている場合は両方ある可能性もありますし、他からの複雑系の要因もあり得ます。
この場合は、やはり少々やっかいになってきますね。
筋骨格系の症状でも内科症状でも、そこだけのモンダイと見るのは危険です。
症状という、「形として表にあらわれた現象」の前にある流れ、その大本まで読んでいくことが、どのような治療でも大切です。
で、その大本とはたぶん、「バランス」ということになるのではないかと、私は思うんです。
横浜市戸塚区 整体 愉和 清水