ヒザと、膝から下、足首までが大きく腫れ上がり、指で押しても戻らない。
しかもヒザをはじめ、あちこちが痛い。
病院では膝関節炎と言われたり、またリウマチではないかということで検査をしたり、いろいろやっているけれども一向によくならない。
むしろ、悪くなっていて、歩いたりするのもかなり苦痛となっている。
この方を、Hさんということにしましょう。
私が診ますと、どうも足首と膝がつっかえて、それで体液がどうとも流れにくくてそこに溜まりやすい状態になっているように感じました。
お話をうかがってみると、小さいときにスキーで転倒したことがあるのと、足首を骨折したことがあるそうです。
おそらくそのときに生じたつっかえが、長い年月をかけてさらに滞り、ヒザや足首が変形するほどの浮腫を作り、いかようにもしがたい痛みを発するようになったのだというのが真相でしょう。
ラクに立ってもらいますと、まず重心が若干後側気味になっています。
これでは、ふつうに生活するだけで、さらにヒザに負担がかかります。
1、まず重心(バランス)を整えること。
2、膝と足首の滞りをほどくこと。
3、足の影響で及んだ腰やその他を調整すること。
以上が、なすべき操法という判断をしました。
しかし、あまりに状況が悪化している状態です。
初回は、これ以上膝に負担をかけないために、バランスの調整が最優先となります。
それから、膨らんだ膝や足首のつっかえをほどきます。
1回目では症状も大きな変化もなく、ただ重心の変化と多少の痛みの緩和はあったようです。
私にも、今後の経過については予測できません。
2回目のとき、Hさんに少々うらめしそうな表情が見えました。
なんでも、痛みも元に戻ったとのこと。
でも、それでもきちんと来たのはエラいと思いました。
なかには、それでもう止めちゃう方もいらっしゃるんです。
ずいぶんとこじれている場合、初回でさほどの変化が見られないというケースは、なかにはどうしても出てきます。
それはやはり、からだの状態によっては致し方ない。
そこで止めてしまう方はお気の毒ですが、いつまで経っても快復はムズカシイでしょう。
で、2回目はヒザの詰まりと足首のつまりをほどくのを重点的におこないます。
なにせ、小さい頃に定着してしまったものです。
からだを動かすことを存分に、溌剌とできなかった時間が長いのだろうことを想いますと、是非ともよくなっていただきたいと強く思うのでした。
そうこうするうちに、足になにかが流れ来る感じ、暖かい感じがするようになったとおっしゃいます。
かなりつっかえがほどけてきたようです。
が、まだ完全ではありません。
その後も、ヒザと足首、重心の調整をメインに、そして腰部その他の方も操法することができるようになりました。
膝の変形は治まり、足首の方も流れが出てきましたので、浮腫もなくなってきました。
ここまで来ますと、快復と病の分岐点を超えたナという感触が出てきます。
足首と膝がそれだけつっかえていたということは、股関節(こかんせつ)にも負担がかかり続けていたということでもあり、当然、腰の調子も悪かったわけです。
ヒザばかりが気になっていたのでしょうけど、膝がよくなり、腰もよくなってみますと、からだがこんなに快適なものだということがはじめてわかり、「全身の調子がよくなったのに気づきました」、とHさん。
Hさんの場合、一応ですが、5回でよくなりました。
最初の方は1週間に1回、後半は2週間に1回という間隔です。
ただ、どうしても長いあいだにわたって蓄積されたものですから、まだ油断は禁物です。
様子をみながら、適宜調整することも忘れてはなりません。
5回目が終了して、むくみも痛みもなくなってお帰りになるとき、
「一時はどうなるかと思った!」、とHさんは胸をなでおろすようにおっしゃってました。
横浜市戸塚区 整体 愉和 清水